【地獄以上の状況だ】ガザの危機的状況に関心を、国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）清田局長が講演

パレスチナ自治区ガザで人道支援にあたる国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）の清田明宏・保健局長が11日、和歌山市栄谷の和歌山大学で講演した。観光学部の学生など約70人が、深刻な食料不足に苦しむ人々の危機的な状況などについて耳を傾けた。

清田局長は医師で、2010年から現職を務めている。ヨルダンを拠点にしながら、23年10月のイスラエルのガザへの攻撃開始後も計4回現地に入り、破壊された診療所の再建や衛生環境の改善、子どもたちへのポリオワクチン接種などに取り組んできた。

ガザでは攻撃後、UNRWAが運営している学校に大量の住民が避難した。「トイレが500人に1カ所、シャワーが2千人に1台という状況で、とても人間が生きられる状態ではなかった」と話す。

ごみ収集が止まり、町中に下水が氾濫（はんらん）して衛生状態が劣悪になった。

水道水を消毒する塩素も入手しにくくなり、真水を飲まざるを得なくなった。その結果、下痢やA型肝炎が増え、さらに20年以上見られなかったポリオの患者も確認された。

イスラエルが小麦粉など人道支援物資の搬入を制限していることで、子どもたちだけでなく大人の栄養失調も増えている。「少量の小麦粉が入っても略奪されて市民の手に渡らない。知人は『地獄以上の状況だ』と話していた」という。

清田局長は、ハマスとイスラエルの暴力の応酬を批判し、「普通の人が水も食料も家もない状況に追い込まれるのが人間として許されるのか。ぜひこの問題に関心を持ち続けてほしい」と学生らに呼びかけた。

ガザの危機的状況に関心を　UNRWA・清田局長が和歌山大で講演：朝日新聞

　パレスチナ自治区ガザで人道支援にあたる国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）の清田明宏・保健局長が11日、和歌山市栄谷の和歌山大学で講演した。観光学部の学生など約70人が、深刻な食料不足に苦し…

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