- 1 : 2024/03/11 22:01:31 ???
- 生殖医療が発展し、精子凍結をする男性が増える一方で、精子の質が世界的に落ちている。父親の加齢により、精子の状態は落ちてしまう。生まれてくる子どものリスクを指摘する研究もある。
田島弘子さん(仮名・38)は、2人目の子どもを望んで妊活中だ。不妊治療を経て、長男を授かったのは3年前。出産直後は、「1人でも子どもに恵まれただけで十分」と思っていたが、息子が成長するにつれ、「この子にきょうだいをつくってあげたい」という思いが夫婦ともに強くなった。
夫は6歳年上で、現在44歳。二人の年齢を考えると、タイムリミットが迫っていると感じた。2度目の体外受精は実らず、焦りもあった。
そんな時、ふと目にした記事に衝撃を受けた。そこには、ある調査から導き出された傾向として、「高齢の父親から生まれた子どもは、自閉症などの発達障害が生じやすくなる可能性がある」とあったのだ。
卵子の加齢が、妊娠率の低下や流産率の増加など、妊娠・出産に影響が大きいことは知っていた。だが、精子の加齢については、そこまで考えたことがなかった。男性の年齢も、多少影響はあるだろうとは思っていたが、60代、70代で子どもができた男性の話も聞いたことがある。「女性に比べて大きな影響がないのだろう」と思っていたから、先の記事は大きな驚きだった。
父親の加齢が、子どもの神経発達障害のリスクを上げるという結果は、いくつもの世界中の疫学調査で出ている。なかでも、発達障害の一つである自閉スペクトラム症(ASD)と両親の加齢との関係については、世界5カ国、約600万人を対象に行われた、最大規模のメタ解析(2016年、Molecular Psychiatry)があり、母親より父親のほうが子どもの自閉スペクトラム症の増加に大きく関わることが示され、大きな注目を集めた。さらに、同調査では、父親の加齢が、自閉スペクトラム症以外にも、統合失調症や低IQ、双極性障害や社会性低下、出生時低体重などに影響するとされている。
そもそも、生殖細胞の作られ方は精子と卵子で大きく異なる。
卵子の元になる卵母細胞は、女児がまだ母体内にいる胎生5カ月頃が最も多く、約700万個作られる。その後急速にその数が減少し、出生時には約200万個となり、排卵が起こり始める思春期頃には、30万個まで減少。うち、排卵する卵子の数は400~500個と1%以下とされる。卵母細胞の数は増加することはなく、35歳頃を過ぎると急速に減少し、卵母細胞の数が約1000個以下になると閉経する。
これに対し、精子は幹細胞が分裂して自己複製し、精母細胞を経て膨大な数が随時産生される。この時、加齢とともにDNA合成時の“コピーミス”が増え、遺伝子変異した精子となる。
さらに大隅教授が率いる研究チームは、父親の加齢によって精子形成におけるヒストン修飾や精子DNAメチル化が変化することで精子の“劣化”が進み、それが遺伝子に影響することを発表してきた。最近の調査によって、これらに加え、遺伝子の働きを調整する「マイクロRNA」も変化し、神経発達障害関連遺伝子の制御に関わることを明らかにしたばかりだ。つまり精子も、老化によって後天的に遺伝子の“働き”が変わるのだ。
「父親が40歳を過ぎて生まれた子どもは、自閉症などの発達障害が生じやすくなるという海外の研究発表を、改めて裏付ける結果となりました。例えば皮膚の幹細胞も老化していくように、精子の幹細胞も老化していく。体全体が老化するなかで、精子だけは放出されるたびにフレッシュというイメージがあるとしたら、それは間違っているのです」(大隅教授)
そのうえ、近年、世界的に精液の質が低下していることが明らかになっている。順天堂大学の辻村晃教授の調査で示されているように、「これから子どもを希望する男性の4人に1人は、すでに精液所見が悪化している傾向にある」という驚きのデータもある。
2022年には、ヒトの精子の減少が加速し、「1970年代と比べると6割も減っている」という調査結果が発表された。(抜粋)
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/1bf10ebf3c891e8c3e92a6169f165a8390c0d7d2&preview=auto
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