経団連、旧姓の通称使用拡大では不十分 自民会合で主張

経団連、旧姓の通称使用拡大では不十分　自民会合で主張 – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA064UE0W5A300C2000000/

2025年3月6日 19:00

自民党は6日、党本部で選択的夫婦別姓制度を議論する作業部会を開き、経団連から意見を聞き取った。経団連は選択的夫婦別姓の導入を提唱した。自民党の保守派が推奨する旧姓の通称使用拡大が実現しても不都合が残るとの認識を示した。

氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム（逢沢一郎座長）が党本部で会合を開いた。経団連は法制審議会が1996年にまとめた答申が最も望ましいと訴えた。答申は選択的夫婦別姓を認め、別姓の場合は結婚時に子どもの姓を決める内容だ。

逢沢氏は会合後、結婚時に夫婦が姓を同一にする現行制度を巡り「どの角度から不便を解消していくのか詰めていかなければならない」と記者団に語った。

経団連は2024年、選択的夫婦別姓の導入を求める提言を出した。現行制度では結婚時に9割以上が夫の姓を選ぶ。経団連は女性にとって海外出張や社内手続きで不都合が生じ、アイデンティティーの喪失にもつながると主張してきた。

自民党の保守派は同姓を維持しつつ希望する人が旧姓を通称として使いやすくする改革を推進する。住民票やパスポートなどは戸籍姓と旧姓を併記できる。

6日の会合でも出席した国会議員から、経団連が会員企業に通称を使える対象が広がっていると周知を強めるべきだとの意見が出た。

経団連は旧姓の通称使用になじみが薄い海外で併記は通用しにくいなどと難色を示す。経団連が24年5月に実施した調査によると、企業の女性役員の88%が旧姓の通称使用ができても「何かしら不便さ・不都合、不利益が生じると思う」と回答した。

自民党は2月中旬、選択的夫婦別姓を巡る議論を再開した。野党が導入に向けた関連法案を提出する可能性があり、少数与党の自民党は対応を迫られる。自民党の森山裕幹事長は採決で党議拘束をかけると明言しており意見集約をめざす。