千葉県の公立中で成績分布ばらつき、「半数が5」の一方で「5がいない」学校も…内申点に直結し「学校ガチャ」の声

　…生徒の成績は個人の達成度を測る「絶対評価」を採用しているため、学校によってばらつきが目立つ。県教育委員会が２０２３年度に公表した学校別の成績分布によると、同じ地域でも「美術」で中学３年全員に「５」をつける学校がある一方、「５」が全体の４％にとどまる学校もあった。

　「技術・家庭」では、一部の学校が半数の生徒に「５」をつけたのに対し、「５」の生徒がいない学校もあった。数学や理科、社会といった主要科目でも、半数以上の生徒に「５」をつけた学校があった。

　学校や教師で評価のばらつきが生じるため、内申点を高校入試に取り入れるのは「不公平」との批判がつきまとう。これに対して県教委は、内申点を活用する理由について「文部科学省の通知に従い、多面的な評価をするため」と説明する。

　県教委ではかつて、成績評価の平均が高い中学に通う生徒は内申点を下げ、平均が低い中学に通う生徒の内申点は上げる「補正」を実施していた。学校や地域の格差が縮まったとして、２１年度以降は取りやめたが、中学によって良い成績の取りやすさに違いがあるとの指摘は根強い。

　問題は２７日の県議会でも取り上げられ、予備校で講師経験のある雨宮真吾県議（無所属）が「学校間の評価格差は顕著だ。学校ガチャ、担当教師ガチャが発生してしまっている」と述べ、成績評価の平準化を求めた。冨塚昌子教育長は「中学校間に差がある」との認識を示した上で、「客観的で公平な評価を行えるように研修などの充実を図っていく」と答弁した。

　首都圏で学習塾を展開する「市進」（市川市）の児玉修昌副校長は、「積み重ねを評価する内申点は、日々のモチベーションにもなるため、一概に否定はできない」と語る。

　そのうえで児玉副校長は、千葉県は入試の得点全体に占める内申点の比重が他県よりも低く、割合が１割程度の高校もあると指摘。「中学校間のばらつきは一定程度、考慮された仕組みとなっているのではないか」との見方を示す。

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