【研究】軽症のコロナ感染でもアルツハイマー病に関連する脳タンパク質を変化させ、認知症のリスクを高める・・研究者「コロナに感染した人は脳のアルツハイマー病に関連するバイオマーカーに著しい変化が見られた」

科学者らは、軽度のCOVID-19でもアルツハイマー病に関連する脳タンパク質を変化させ、認知症のリスクを高める可能性があることを発見し、緊急の公衆衛生上の懸念を引き起こしている。

ネイチャー・メディシン誌に掲載された最近の研究では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2（SARS-CoV-2）感染の軽症と重症の両方が、アルツハイマー病に関連する脳バイオマーカーの変化に関連しているかどうかを調査した。

研究者らは、英国バイオバンクの参加者から採取した血液サンプルを分析した結果、COVID-19に感染した人は脳病変の兆候が見られ、重大な公衆衛生上の懸念が生じていることを発見した。

世界がCOVID-19パンデミックからの回復を続ける中、科学者たちは脳の健康に対する長期的な影響を調査している。過去の研究では、ウイルス感染が全身性炎症を引き起こす可能性があることが示されており、これはアルツハイマー病などの神経変性疾患の重要な要因である。新たな証拠は、重度のCOVID-19に罹患した人は認知機能低下のリスクが高い可能性があることを示唆しているが、根本的なメカニズムは依然として不明である。

アルツハイマー病は、ベータアミロイドやタウなどの脳タンパク質の変化と関連しており、病気の症状が現れる何年も前に血液サンプルで検出できます。

軽症または中等症のCOVID-19でもCOVID-19の急性期後遺症（PASC）を引き起こす可能性があるという新たな証拠があることから、本研究では、重症度に関係なく、SARS-CoV-2感染がこれらの重要なバイオマーカーの変化に寄与するかどうかを判定することを目的としました。

この研究には、SARS-CoV-2の検査で陽性となった626人と、健康記録、抗原検査結果、抗体検査に基づいて選ばれた、感染していない対照群626人が含まれていた。

調査結果
研究では、COVID-19に感染した人の脳のアルツハイマー病に関連するバイオマーカーに著しい変化が見られたことが判明した。

ベータアミロイド蓄積の重要なマーカーであるAβ42:Aβ40比は、COVID-19陽性の参加者では対照群と比較して低かった。これらのタンパク質の比率の低下は、一般的にアルツハイマー病の病理に関連している。

さらに、この研究では、脳内のタウタンパク質のもつれに関連するタンパク質であるpTau-181のレベルの上昇と、神経細胞の損傷を示すNfLレベルの上昇が観察された。アストロサイトの活性化と神経炎症のマーカーであるGFAPも、COVID-19患者で高かった。

驚くべきことに、これらのバイオマーカーの変化は、アルツハイマー病のよく知られた遺伝的危険因子である単一の APOE-ε4 対立遺伝子を受け継いだ場合の効果サイズの 60% である、4 年間の老化に匹敵しました。

これらのバイオマーカーの変化は、高齢者（特に70歳以上）や、高血圧や肥満などの既存のリスク要因を持つ人々でより顕著でした。

興味深いことに、軽度または無症状のCOVID-19に感染した参加者でも血漿バイオマーカーの変化が見られ、感染が脳の健康に与える影響は重症の場合に限定されない可能性があることを示唆しています。

研究者らは認知テストのスコアと神経画像データも分析し、COVID-19陽性者は対照群と比較して認知テストの成績が低いことを発見した。これは加齢に伴う認知機能低下のほぼ2年分に相当する。

脳画像では、一部の参加者でアルツハイマー病に関連する構造パターンが明らかになり、COVID-19と神経変性の潜在的な関連性をさらに強化した。

さらに、この研究では、TNFSF10（TRAIL）、PTX3、IL-6などの特定の炎症マーカーがCOVID-19感染後の個人で変化していることが判明し、脳病理に寄与する可能性のある長期の炎症反応を示唆しています。

結論
全体として、この研究は、COVID-19が軽度の感染者であってもアルツハイマー病関連の脳の変化を加速させる可能性があるという新たな証拠を提供した。

血漿バイオマーカーに観察された変化は、脳の健康に長期的な影響を与える可能性があることを示唆している。

これらの調査結果を確認するにはさらなる研究が必要ですが、著者らは、今回の調査結果は、COVID-19後の認知症の発症率増加を示唆する過去の報告と一致していると強調しました。

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